広島大学ヨット部創立70周年に寄せて

広島大学ヨット部創立７０周年にあたり、心からお祝い申し上げます。
新制広島大学の誕生と共に創立された広島大学ヨット部は、７０年の長きにわたって輝かしい歴史を刻んでこられました。全日本学生ヨット選手権大会での２度にわたる優勝、国民体育大会での３連覇、広島アジア競技大会での優勝など数々の金字塔を打ち立てられたことは、広島大学人の誇りであります。

顧みますと、設立当初から順風満帆というわけではなく、たった１艇の古びたヨットからのスタートであったとお聞きしております。設備、指導者ともにままならぬ中、集まった仲間たちが手探りで戦略を練り、苦心を重ねながら、今日のヨット部の隆盛を築き上げてこられたと伺いました。
広島県セーリング連盟会長で広島大学体育会同窓会会長にもご就任いただいている山根恒弘様をはじめ、ヨット部ＯＢの皆様にはひとかたならぬご支援、ご尽力を賜ってまいりました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

あらためて申すまでもなく、大学生活における課外活動の意義は、体力、精神力を磨くとともに、仲間との共同作業を通じてチームワークスキルを身につけ、複雑かつ多様な社会に柔軟に対応できる人材を育成することにあります。課外活動は、生涯にわたるかけがえのない友人との出会いの場でもあり、まさに豊かな人生を育む揺籃であるといえると思います。

広島大学は、障害のある学生への支援に力を入れております。昨年１０月、障害の有無にかかわらず、誰でも手軽に操れる小型ヨット・ハンザの世界大会「２０１８ハンザクラスワールド＆インターナショナル広島大会」が広島湾で開催された際には、ヨット部の諸君をはじめ多くの学生、教職員がボランティアで協力してくれました。
さらに今年１月には本学として障害者ヨット「ハンザクラス・リバティ」を購入し、進水式を行ったところです。２０２０年東京オリンピック・パラリンピックを控え、インクルーシブ・セーリングの普及に一層努めていただければと願っております。

広島大学ヨット部創立７０周年の節目をさらなる飛躍のマイルストーンとし、これからも部活動を通じて新たな共生社会の先駆けとなる人材の育成に努めていただくことを期待しております。
広島大学ヨット部の今後益々のご発展を祈念し、お祝いの言葉といたします。