広島大学体育会ヨット部創立70周年によせて
広島大学体育会ヨット部創立70周年、誠におめでとうございます。
瀬戸内の海は古来より船が行き来していて、遠く中国や朝鮮とも交流する航路でもあるなど、日本の海上交通、物流の要衝です。その瀬戸内の海で戦後間もない1949年(昭和24年)、創立されたばかりの新生広島大学の学生達十数名が規格外れの老朽艇「しぶき」1艇をもとにヨット部を創設し、果敢に学生ヨット界にデビューされました。
最初は、ヨット部の規模も力量も大きくなく、インカレでも惨憺たる状況であったところが、渡辺文人氏たちの努力により、昭和37年には広島で全日本学生選手権大会を開催するまでの力量を付けられたと伺っております。
それだけでなく、翌、昭和38年にはスナイプ級2位、昭和46年にはスナイプ級優勝。昭和48年、49年、50年に470級2位。そして昭和54年には念願の総合優勝も勝ち取られました。さらに国民体育大会やアジア大会、全日本選手権大会でも優勝はじめ優秀な成績を残されております。
平成16年には広島観音マリーナに研修棟ができ、現在は広島湾で練習しておられ、この70年の間に約600名の卒業生を出されております。
現在の広島大学体育会ヨット部および卒業生の皆さんは、インカレを目指すとともに障害者セーリング活動にも尽力され、新たな共生社会のさきがけとして、インクルーシブ・セーリングの普及にも努めておられます。
その成果は、昨2018年のハンザ級世界選手権の開催、それに合わせてWorld Sailingが開催したパラリンピック・デベロップメント・プログラムの成功として、世界中から認められております。
これからも、日本の大学ヨット界での活躍とともに、世界に飛躍する優秀なセーラーと卓越した指導者、運営やジャッジングにたけた人材の輩出、さらにインクルーシブ・セーリングの普及に尽力されることを期待しています。
広島大学体育会ヨット部の益々の御発展と御活躍を祈念して、お祝いの言葉とさせていただきます。