親子で見つけたセーリングの魅力
創部70周年、おめでとうございます。
大学1年。創部40周年記念行事が盛大に行われたことを鮮明に記憶している。ポロシャツが支給され、すごく嬉しかった。伝統あるヨット部に入部したことを誇らしく感じた。
光岡英司監督と薬師寺正憲監督に鍛えられ、キャプテンとして挑んだ全日本インカレ。微軽風では総合3位と走りながら、ド強風に入賞の夢は散った。そして前田博志と青春を燃やしたスナイプ世界一への挑戦の日々。エンタープライズ級で掴んだ広島アジア大会金メダル。自分の視野が世界に大きく広がった。ヨットのおかげで、たくさんの宝物を得た。
また、ヨット部が縁で後輩と結婚し、家庭を築くことができた。現在、我が子たちがセーリング競技に夢中になっている。2人の娘たちのおかげで、週末を家族一緒に海で過ごしている。なんて幸せなことであろう。しかし、自分一人でこのような満足感を得られる訳ではない。海は助け合うことが基本だ。支えてくださるすべての方々に対し、感謝の思いでいっぱいだ。
一時期、仕事に打ち込み、ヨットから足が遠のいていた。海外勤務から帰国して久しぶりにハーバーに顔を出した時に、当時のハーバーマスターだった沖田勇三さんから誘われた。身体に障がいを持つ方と健常者でつくるヨットの会の手伝いをしてみないかという一言だった。そのセーリング活動は魅力的で、あっさりとのめり込んだ。当時小学4年だった長女がハーバーについて来るようになった。同じハーバーで活動している「広島セーリングスクール」というジュニアクラブに、長女が入部するのは自然な流れであった。
その日からの7年間はあっという間。2人の娘たちは、多くの指導者との出会いに恵まれ、OP級ヨットでセーリングの基礎基本をみっちりと鍛えこまれている。現在、長女は国泰寺高校に進み、ヨット部で420級ディンギーに乗り、先輩と共にインターハイでの上位入賞を目指している。小学3年でOP級に乗り始めた次女は、現在中学1年。ナショナルチーム選考会で日本代表に選ばれることを目標に頑張っている。私も気が付けば、盟友の前田先輩と一緒にセーリングスクールのコーチをしている。妻も陸のサポート役を献身的に頑張っている。
このセーリングスクールの核心は、人格の陶冶にある。校長は「速いセーラーである前に立派なセーラーであれ」と説く。ここに、親子がのめり込む理由がある。「謙虚に自然に向き合い、他者を思いやることができる人間になろう」と諭される。
ヨット競技は人間力の勝負でもある。これからも親子で、自分磨きに精進していきたい。そのためにも海を愛し、心からセーリングを楽しみたい。
そして、母校の後輩諸君の活躍を心から期待している。